北川健次 Kenji Kitagawa

新作版画集『Element―回廊を逃れゆくアポロニオスの円』
2007年9月11日(火)〜9月30日(日) 9/18(火), 9/25(火) 休廊

 内なる形態へのオブセッションを幾何学的図形に投影することによって、イメージの深層を立ち上がらせようという、実験性にみちた「版画集」のスリリングな表現性を追求する北川健次。そのイメージの特異性と銅版画の完璧さは海外でも注目を集めている。本作では舞踏家をモデルにした実際の写真撮影から制作が始まり、これまで培ってきた方法論と対置させ、等価値に取り込んで、八面体の幻視的装置のような配置を試みている。それは、ミステリアな二次元のオブジェのようだ。
 版画集の8点と、特典用オリジナル写真17種に、オブジェ数点を特別出品して、合計約30点の展覧。



〈 版画―二次元のオブジェの可能性を求めて 〉 北川健次

 今秋、パリの出版社から詩人のアルチュール・ランボーをモチーフとした美術作品について論考した研究書が『Le regard bleu dォArthur Rimbaud』というタイトルで刊行されるが、その中に、私の版画集に収めた二点の銅版画も掲載されることになった。
 テクストの対象となる美術家は私の他に、ピカソ、ブラック、ジャコメッティ、マックス・エルンスト、ジャン・コクトー、メイプルソープといった個性的な人選であるが、刊行に併せて2008年3月まで美術館での刊行記念展も開催される予定になっている。日本語版と同時に海外でもその質を問うべく版画集の英語版(および仏語版)を刊行してきたが、二年前に実現した、版画のイメージの舞台となったパリのパサージュでの実験的な展示に続き、今回のような形となって評価されてきている事は、版画集に独自な表現の可能性を求め続けている私にとって、さらなる意欲へと高まっていくものがある。

 版画にしか出来ない表現の可能性の一つに「版画集」という存在がある。駒井哲郎や池田満寿夫といった60年代の版画の旗手たちの時代に比べ、昨今はこの可能性に挑戦しようとする作り手は少なくなってしまったが、私はこの実験性にみちたスリリングな構造の中で「二次元のオブジェ」としての版画の意味を確立しようと思っている。「版画集」―それは私にとって限りない可能性を秘めた、詩想と謎を搦め捕るための危うい装置なのである。
 今回発表した新作銅版画集『Element―回廊を逃れゆくアポロニオスの円』のイメージの立ち上げは、先ずは具体的な事物を撮影することから始まった。 「円と戯れる女、暗室の中の彫像、英国製の硝子細工、マヌカン、モナ・リザと覚しき女の肖像、円形の古鏡の前に立つ女、紐、―つまりは、オブセッショナルな円の変容(幾何学的構造の悪い夢…)。」2,000枚近い光と影の刻印が次第に重なり、遂には「回廊」という場に集約され反転するように版画の構造へと移っていった。会場に展示された十数葉の写真は、その過程における断片的な軌跡である。



北川健次新作版画集『Element―回廊を逃れゆくアポロニオスの円』



会期中ご予約特典
・定価26万円→先行予約特価23万円
・北川健次のディレクションによるサイン入り写真進呈
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フォトグラビュール8点入り 各葉にサイン・ナンバー入り イメージサイズ 36x28.5cm(ノーマージン) 日本語版48部(早くも完売)+英語版42部限定
現在英語版のみ入手可能ですが、タイトル記載が英語になる以外、作品内容はまったく同一です。

北川健次の銅版画
1/ 回廊にて―Boy with a goose

北川健次の銅版画
2/ 幾何学の夜に

北川健次の銅版画
3/ 飛翔論

北川健次の銅版画
4/ E.Chirico―あるいは分割された三つの手紙

北川健次の銅版画
5/ 計測されるA・エリスの肖像

北川健次の銅版画
6/ Bruges―グラン・プラスの停止する記憶

北川健次の銅版画
7/ ラ・コリエールの姉妹

北川健次の銅版画
8/ Anges―二人の少年のいる室内

北川健次の銅版画
外装/スエード調布ケース

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北川 健次 プロフィール
1952年 福井県に生まれる
1970年 多摩美術大学入学、駒井哲郎に銅版画を学ぶ (1976年同大学院修了)
1974年 この時期の表現主義的傾向の作品が、棟方志功に高く評価される
1975年 現代日本美術展ブリヂストン美術館賞受賞
1976年 池田満寿夫の推挽で作家活動に入り、銅版画で写真製版技法を日本初導入
     東京国際版画ビエンナーレ展招待出品 (以後各地で国際版画展出品多数)
1981年 ユーゴスラビア・リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展招待出品 (1997年も)
1983年 第1回東京セントラル美術館版画大賞展大賞受賞
1985年 「未来のアダム展」(西武百貨店) 高橋睦郎企画、井上有一、金子国義ほか
1989年 この頃、BOX ARTの先駆的役割を果たす「箱」を主題にした作品の制作
1990年 文化庁芸術家在外研修員としてスペイン、フランスなど6カ国に滞在
     「1990 日本の版画・写真展」(栃木県立美術館)
1991年 「箱の世界 - THE WORLD OF BOX 」(水戸芸術館)
1992年 「本の宇宙 - 詩想をはこぶ容器」(栃木県立美術館)
1994年 「死にいたる美術 - メメント・モリ」(町田市立国際版画美術館/栃木県美)
     「果実の受胎 - 駒井哲郎と現代版画家群像 」(埼玉県立近代美術館)
     来日したクリストにオブジェや絵画作品が高く評価される
1995年 銅版画集『サン・シュルピスの視えない庭園』発表
     「澁澤龍彦画廊展」(東京日動画廊)
1999年 俳人・馬場駿吉とのコラボレーション「海馬の夢」発表
2000年 「現代版画の軌跡 - ゆめとめざめ」(和歌山県立近代美術館)
2001年 「BOX ART」巡回展(福島・新潟・静岡・高知)
     「本という美術 - 大正期の装幀から現代のオブジェまで」(うらわ美術館)
     銅版画集『サン・ミケーレの計測される翼』発表
2002年 レオナルド・ダ・ヴィンチ試論のための取材でローマ、フィレンツェ、
     ヴェネツィアを巡る (2003年に「トスカーナの視えない鏡」として脱稿 )
2003年 銅版画集『ローマにおける僅か七ミリの受難』発表
2004年 「ピカソが封印したキュビズムの謎」記念講演を行う (福井県立美術館)
    銅版画集『反対称・鏡・蝶番―夢の通路/Vero-Dodatを通りぬける試み』発表
    ギャルリー宮脇に於ける初個展で、「イメージを皮膚化する試み」三部作の全容を展観
    画廊パンフレット『螺旋階段』第64号に特集(右画像 特別寄稿/中村隆夫)
    『「モナ・リザ」ミステリー』(新潮社刊)
2005年 前掲図書が人気を博し、全国各地の大学や美術館で講演を行う
    「Bruges ― <切り取られた>水の記憶」展(中村隆夫とのコラボレーション企画)
    オブジェ展「鏡面の詩学 ― レオン・フーコーの視えない振り子のために」
2006年 銅版画集『黄金律―NANTESに降る七月の雨』発表
    ギャルリー宮脇に於ける2度目の個展で、オブジェなども出品。
2007年 銅版画集『Element―回廊を逃れゆくアポロニオスの円』発表
    ギャルリー宮脇に於ける3度目の個展。



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