坂爪厚生 Atsuo Sakazume

漆黒の闇から削り出される光の階調

 目立てした銅板の表面を削り取ることによって、形象を白く浮かび上がらせる直刻凹版の技法メゾチント。そこに出現するものたちの美しさと驚き。ものの存在の畏れのようなものを表現したり、光と闇、現実と虚構、表と裏、表面と内実の距離を測るものとして、坂爪厚生はこの技法にこだわってきた。
 現在社会は、ものの表層に現出するデジタル化されたデータだけが情報ネットワークに拾われ伝達・集積され仮想世界が現れる。ものの内実は置き去りにされている。ここに紹介する “ネット” シリーズ(2010〜12)では、情報を集めるネットでひとが造られるという暗喩が作品化されている。



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作者略歴
1941年群馬県生まれ。キューピー人形や崩壊するパズルのイメージで知られるメゾチント技法の代表的作家として1970年代から活躍。1974年日動版画グランプリ展グランプリ、ニューハンプシャー国際グラフィック展審査員賞受賞以来、国内美術館企画、国際コンクール出品多数。2010年より日本版画協会理事。京都府在住。