作者からのメッセージ 「描くことについて」西脇直毅 わたしは増殖と反復という主題で描くことが多いのですが、なぜ増殖する絵を描くのかと申しますと、例えばモチーフがネコの場合ですが、3つのことが考えられます。1つには、描いたネコの形態が連続的に描くことに適しています。(描いたネコのかたちが次のネコのかたちを待っています)2つには、間違わないで描けることです。例えばプログラムだと間違えると止まってしまいますが、ネコは間違いがないので描いたら描いた分だけ確実に増殖することができます。一見間違いに見えてもその間違いに見えたかたちから新たなネコが生まれるので間違いがありません。3つ目は、飽きないでいくらでも描くことができることです。なぜ飽きないのかは、自分でもよく分かりません。しかしながら、ネコを描くための集中力はあります。絵を描いて楽しいと思うことは、あまりありませんが、ネコで画面が埋まってくると、喜びになります。ネコを可愛く描けると、これも喜びになります。これらの喜びと集中力があるために飽きないで続けられるのかもしれません。 次にわたしがネコを描く最中に何が起きているのか想像してみたいと思います。ネコは描かれると魂みたいなものがネコの絵に入ってゆくのだと想像します。わたしの絵には1枚につき数千匹のネコが描かれていますが、すべてのネコに魂が入っているのだと思います。一匹入魂です。ネコには、ネコの意識の集合体みたいなものがあると仮定してみます。私は、その意識の集合体みたいなものに繋がって、ネコを描いて魂を吹き込んでいるのだと想像します。そのネコ意識の集合体への繋がるためのコードは、ネコを実際に描くことだと実感します。ネコの意識に繋がっている時、ネコは日本語を話すこともあるような気がします。例えば「きれいに描いてね」とか「可愛く描いてね」とかです。ときには、励ましてもらうこともあるように思います。実際日本語を喋るネコはいませんが、ネコの意識の集合体へ繋がることは、わたしが描いている最中に起こっているのではないかという気がします。以上のことがわたしがネコを描いている最中に起こっているのではと思っています。 (ページ最下部に作者による作品鑑賞のための補足があります。) |
★作者からのメッセージ補足 おまけとしてわたしの絵を楽しむ方法ですが・・・、 1. まずネコと認識できる距離まで近づいてご覧ください。そうするとネコだらけの絵は、ネコ以外の動物にも出会えるかもしれません。 2. 迷路になっている絵もあります。ネコとネコの間の道を辿ってみて下さい。 3. ネコに話かけると答えがかえってくる気がするかもしれません。 4. 3Dのように少しですが、ネコが飛び出して見える絵もあります。(特に青系の色が飛び出して見えます) 5. 次に離れてご覧いただくと、単色のネコだらけの絵は、ボールペンのインクの減り具合から偶然生み出されるモワレのような色調と その形態に出会うことができます。 6. またネコによってつくられた抽象的な形態をご覧いただけます。 そして最後にわたしの絵をご覧になった方がネコみたいな笑顔になっていただければ、真の幸いであり、嬉しくもあり、絵を描く動機にもなります。 有り難うございます! 西脇直毅 2016年4月の初個展に建畠晢が寄せた評論「オブセッションとユーモア」を読む |