![]() 2003年女子美術大学洋画専攻卒業・美術館収蔵作品賞受賞。 2004年第1回フォイルアワード・グランプリ。GEISAI 5 奈良美智賞。 2005年第25回グラフィックアート一坪展グランプリ。リトルモアより齊藤彩作品集「だるまさんがころんだ」出版(ISBN 4-89815-145-0)。 2008年COLOR IMAGING CONTEST 勝井三雄賞。 2015年ドイツ・ライプチヒ Das Japanische Haus.e.V に滞在制作し発表。横浜市民ギャラリーあざみ野で大規模個展「齊藤彩2003〜2015」。 2018年ギャルリー宮脇のコレクティブ企画「THE ESSENCE」に出品。 50 PAINTINGS BY AYA SAITO 齊藤彩大型紙油彩作品50選を見る(クリック)→ ・武蔵野美術大学・鷹の台キャンパスで、齊藤彩×中屋敷智生2人展「歩く - 感覚と思考の交差点」2021.4.19〜5.15 終了しました。 ・女子美術大学ガレリアニケ(杉並)で「ニケキュレーターズセレクション#5 齊藤彩展」2021.5.14〜6.16 終了しました。 ・アートフェア ART OSAKA 2021(会場:大阪市中央公会堂 2021.7.18-19-20 3日間)に齊藤彩の個展形式で出展しました。 New・2022.2.15〜3.6 ギャルリー宮脇にて齊藤彩×中屋敷智生2人展「歩く - 彷徨の記憶をはぐくむ時間」を開催。→フライヤーを見る ★ WEB連載寄稿 by 神保京子 ④ 「女子美ガレリアニケキュレーターズセレクション#5 齊藤彩展」 に際しての書き下ろしテクスト ![]() 齊藤彩の作品はあらゆる言語を拒絶する。そこには一切の「回答」がない。ただあるのは、自動発生的に現出する無数の残像である。絵画空間の手前では、底なしの無意識が、ただ放出されることを待ちわびながらひしめき合っている。 ![]() ただひたすら描くという創造の快楽が快楽を呼び覚まし、作家の指先からは、名付けようのない未知の図像が次々と投げ出されてゆく。それは生み出されてみなければ作者自身にも預かり知れない世界なのだ。一旦身体から引き離された創造物はその瞬間から、作者にとってもまた不可思議な他者となる。そこには恣意的な意図など存在しない。なぜなら、命の誕生へと分裂を繰り返す細胞のように増殖し続ける図像発生の在りようが、極めてオートマティックな様相を呈しているからである。そして創造者は、予定されない空間に向かって、それぞれの物体や人物と初めての逢瀬を重ねるように、何かが憑依した交霊術師のように、一心不乱に「描き続ける」のである。 大型紙の上に描かれた作品には、主に油絵具やアクリル、時に鉛筆等が用いられ、質感の異なる多彩な表面をかたち造っている。 ![]() ![]() ![]() 止めどなく溢れ出るイマージュの洪水をひたすら描き留める齊藤の絵画には、どこかアール・ブリュットの表現者たちに通ずる野性味と素朴さが感じられる。しかし通例の解釈に従えば、それはアール・ブリュットの類いではないだろう。齊藤彩は女子美術大学で学び、美術史や絵画の基礎を身に着けた、いわば「教育を受けた」アーティストである。一方往々にして知識や技術を得た表現者たちは、そのことによって童心を失い、無意識下における想像力の発露が徐々に阻害されてゆく──というディレンマに突き当たることになる。 ![]() 展覧会場を飾る、この充満する絵画空間は、作家が内に秘めるエネルギーのたゆまぬ持続によってもたらされる。アーティストであると同時に勤め人である齊藤彩は、日々の実務の傍らで、絵画と向き合う時を持つ。「1日中話さないことより絵を描かないことの方がつらい」と語る彼女にとって、「描く」という行為はもはや呼吸することと同義である。齊藤彩の生み出す視覚世界は、日常生活の中で鈍化してしまった私たちの感覚や意識を「< 神保京子(じんぼ・きょうこ) 東京都写真美術館学芸員として勤務した後、東京都現代美術館を経て、2011年より東京都庭園美術館学芸員。1999年にはロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館に滞在し、19世紀の写真家、ジュリア・マーガレット・キャメロンの調査を行う。主に写真やシュルレアリスムをテーマに展覧会を企画。手掛けた展覧会には、「川田喜久治 世界劇場」「シュルレアリスムと写真 痙攣する美」「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」等がある。 ![]() 齊藤彩油彩ドローイング25選を見る(クリック)→ ★WEB連載寄稿 by 神保京子 ① < ② 西村一成──獰猛な野生と繊細なエロスの共存 ③ 齋藤修──無限遠の彼方より |